火の恩恵
唐突に留学を振り返ろうと思う。
留学のうちの、最初の1週間あたりのみをだけど。
去年の8月の半ば、スペインはバスク地方で留学すべく、現地入り(?)した。
選んだホテルは、世界遺産にもなっている、世界最古の運搬橋の隣にあった。
外観が美しくて、WEBサイトの写真の部屋もとても綺麗だったのでそこに決めた。
(ホテルの窓からの景色。きれ〜〜〜い)
私は、一緒に来た友人と、そこのホテルに1週間ほど滞在した。その1週間の間に半年住む家を探すのである。
美しい外観で期待は高まり、スタッフの心温まる対応でさらに期待を高め、いざお部屋!
部屋は、まず「広い!」という印象を受けた。
見て回ろう。
浴室、有り
トイレ、有り、
ベッド(大きい!)、有り
冷蔵庫(小さい)、有り
クローゼット、有り
セキュリティボックス、有り
いいホテルだ〜!!!その時は素直にそう思った。
しかし、これから、ここに足りないものに1週間苦しめられることになる。
ホテルを出て、周辺のスーパーに向かった。
食料は基本的にスーパーで調達しようと思っていたからだ。
スーパーは品物豊富で、パン(薄切り)、チーズ、生ハム、サラミ、ミックスサラダ、トマト、水などを買ってホテルに戻った。
買ったものから想像がつくと思うが、私達の部屋には、火を通す類のものが無かったのだ。
加熱せず食べられるものと言えば、サンドイッチに限られる。
(もっとあるような気がするが、その時はそれしか思い浮かばなかった。)
毎日、毎食、サンドイッチ。
変わるものといえば、ハムの枚数くらい。
正直2日と経たずに飽きた。
なので、持ち込んだ味噌汁を飲んでみよう!と思った。
お椀、箸は日本から持ち込んでいたため、水道の水を極限まで暖かくして味噌汁を作ってみた。
ぬるくてまずかった。
帰りてえ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!
しかもこの時期、私は体調を崩していた。
飛行機やトンネルで耳が変になるときがあるが、常にその状態になってしまい、歩くとフラフラするし気持ち悪い。
外に食べに行けば他の食べ物があるかもしれない。
でも出ると気持ち悪い。
最悪のデススパイラルである。
飽きに飽きて、パンを使わずサラダだけにして食べてみたりもしたけど、飽き値(あきち)は最高潮なので何も変わらない。
一度、家探しの帰りにバーガーキングに行った。
そこで食べたバーガーは、最高に旨かった。
耳が変で味が良くわからなくても、心で美味しいと感じた。
バーガーはかなり大きかったので食べきれず、ホテルに持ち帰って、夕飯もそれを食べた。
冷めててまずかった。
帰りてえ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!
さっきまであんなにおいしかったのに…
暖かかったのに…
飼ってた可愛いひよこが死んでしまったような気持ちになった。
刻々と傷むレタス、パサパサになるパン、溶けてトロトロしてたらもっと美味しいチーズ、特筆すべきところの無いハム!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
たすけてくれ〜〜〜!!!!!!!!!!
そして、家が決まる。
入居初日。
同居人とみんなで、グラタンのようなものを作った。
(記念すべき一皿。神々しく照らされている。)
うっっま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
加熱調理は最高。
刺し身すらも今はどうでもいい。
火を使うことを覚えたのは、人類最大の功績だ。
火を通すと、食べ物はこんなにも美味しい。
火を神格化したり、崇拝したりする気持ちが一瞬で分かった。
火、サイコー。だって美味しいもん。
火の恩恵を再認識したら、料理が楽しくなった。
半年の留学で学んだことの1つは、(ある程度)手際よく料理する方法かもしれない。
そしてそれを活かして、日本に戻った今も楽しんで料理できているような気がする。
最後に素晴らしいスペイン語の動詞を1つ。
gratinar オーブンで調理する
あのときはありがとうな、オーブン。